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Windows Server 2016 を使用した Windows 10 の展開 Part3

カスタムイメージの作成

Windows10 のイメージ展開に使用するイメージ(カスタムイメージ)を作成します。このイメージをカスタムイメージやマスターイメージと呼ぶことがあります。Part1でも紹介しましたが、Windows10のカスタムイメージを作成する場合、Sysprepを行う関係上、最初が肝心になります。なぜなら「administrator」アカウントでカスタムイメージを作成しないと Sysprep がうまくいかない可能性が大きいからです。

さて、カスタムイメージを作成する際、企業で使用するアプリケーションなどをインストールします。例えば、Office製品やAdobe Acrobat Readerは定番のアプリケーションになります。その他には壁紙や既定のユーザーアカウントの画像もカスタマイズできます。ただし、注意しなくてはいけないのは、Sysprep に対応しているアプリケーションでないと不具合が生じる可能性がありますので、検証をしっかりと行いましょう。

既定のユーザー アカウントの画像

下記フォルダに、下記のファイル名でサイズを合わせて保管します。

C:\ProgramData\Microsoft\User Account Pictures

  • user.bmp (448×448 pixels)
  • user.png (448×448 pixels)
  • user-32.png (32×32 pixels)
  • user-40.png (40×40 pixels)
  • user-48.png (48×48 pixels)
  • user-192.png (192×192 pixels)

また、ドライバーもこの段階で入れてしまうこともできます。

Pre-staged app cleanup の無効化

これは Windows 8 の時にあったのですが、Sysprep を実行すると ストアアプリが英語化されてしまうという問題を回避するものになります。Windows10でも再発するかはわかりませんが、念のため同様の操作をしておきます。

[タスク スケジューラー](Taskschd.msc) で \Microsoft\Windows\AppxDeploymentClient\Pre-staged app cleanup を無効化します。またはコマンド プロンプト(管理者として実行) で Schtasks.exe /change /disable /tn “\Microsoft\Windows\AppxDeploymentClient\Pre-staged app cleanup” を実行でもできます。

Windows Updateを実行して最新状態に更新

カスタムイメージを作成した時点での最新状態にしておきます。

Sysprep を実行

[powershell wraplines=”true”]
Sysprep /oobe /generalize /shutdown
[/powershell]

Sysprep /generalize コマンドを実行すると、不必要な設定や情報がコンピューターから削除され、次回コンピューターを起動したときにミニセットアップ(OOBE)が起動します。

参照コンピューターのキャプチャ

参照コンピューターでPXEブートを行い、キャプチャブートイメージをロードします。

イメージキャプチャウイザードではキャプチャ後にキャプチャイメージを自動的にWDSに登録することができるので特別な要件がなければキャプチャと同時にWDSへの登録を行うのがいいでしょう。この際、キャプチャイメージはどこに保存されるかというと、参照コンピューターのディスクになるので注意が必要です。イメージキャプチャウイザードでキャプチャ時にWDSに登録しない場合は、参照コンピューター起動後にキャプチャしたイメージを手動でWDSにコピーして登録します。

図3 イメージキャプチャウィザード時にキャプチャイメージをWDSに登録

応答ファイルとプロビジョニングパッケージ

Part2で紹介した、Windows ADK をインストールすると、Windows SIM(Windows System Image Manger)と Windows ICD(イメージングおよび構成デザイナー:Windows Imaging and Configuration Designer)がインストールされます。

応答ファイルに関しては、今までと同じでOS展開を自動化するためのファイルという位置づけです。ただし、この応答ファイルは様々なバージョンやOSの種類に対応していることもあり、このOSバージョンでは動くが、別のバージョンでは動かないなどの挙動が確認されています。そのことから、応答ファイルを実際に使用するには検証が必要になるでしょう。この応答ファイルの作成には Windows SIM を使用します。

さて、Windows ICDで作成するプロビジョニングパッケージというものが Windows 10 で使用できるようになりました。これは 今までの OS の展開手法にとって代わるものなのか調べてみました。結論から申しますと、筆者の見解としては、あくまでも展開作業においては応答ファイルを補完する役割のものと理解しました。そもそもプロビジョニングパッケージとはどういうものなのか?これは、山内さんが書かれている記事が理解しやすいです。

2016-02-21_095958

では、プロビジョニングパッケージで何ができるのか?ですが、応答ファイルでできることと重複している部分がありますが、新しい仕組みなので、応答ファイルでできないこともプロビジョニングパッケージには含まれています。よって、応答ファイルのみですべて行ってもいいですし、応答ファイルで対応できない作業をプロビジョニングパッケージに置き換えて行うこともできます。例えばMDMや無線に関する項目を設定したいなどが相当します。

プロビジョニングパッケージを使用したWindows 10 の展開には、主に次の3つの方法があります。

  1. プロビジョニングパッケージ(.ppkg)をオフラインイメージに配置し、イメージを起動する
  2. プロビジョニングパッケージ(.ppkg)を含むインストールメディアを作成し(Windows ICDで作成可能)、ベアメタルPCをセットアップする
  3. プロビジョニングパッケージ(.ppkg)をUSBメモリなどのリムーバブルメディアのルートにコピーし、インストール済みのWindows 10に読み込む

今回行いたいことは、ライトタッチインストールになります。よって、なるべくユーザーの操作なしでPCのイメージ展開を行い、ドメインなどに参加した状態でアプリケーションが使用できる環境を作成したいのです。そのことから考えると、2.に関しては企業アプリなどの導入ができない時点で使えません(Windows ICDにもアプリケーションを入れる項目がありましたが、調べてみたところいわゆるストアアプリでした)。3.に関しては導入後操作となるので除外になります。ということは、1.の方法がライトタッチインストールに適合しますね。

Windows 10のインストールメディアの「Sources¥Install.wim」を展開したディスク、あるいはWindows 10のSysprep済みのイメージの「C:¥ProgramData¥Microsoft¥Provisioning」フォルダにコピーし、イメージを起動することでプロビジョニングパッケージを使用することができます。ライトタッチインストールにおいて、プロビジョニングパッケージを使用するには、カスタムイメージを作成する際に、1.の方法を使用してプロビジョニングパッケージを「C:¥ProgramData¥Microsoft¥Provisioning」フォルダにコピーすることで対応できます。しかしながら、この対応方法は少々面倒ですね。できれば、WDSサーバーで応答ファイルと同じようにプロビジョニングパッケージを指定できると尚いい感じがします。

現状の動作を知る

カスタムイメージの作成が終わったら Sysprep を行ったのち、それをWDSサーバーに取り込んで、そのカスタムイメージを展開する必要があります。

では、応答ファイルなしの状態でどのような対話形式でインストールされるのか確認してみます。

PXEブートで起動します。ブートイメージを選択して進めます。

dep1

ロケールなどを選択し、次へをクリックします。

dep2

カスタムイメージにアクセスするための資格情報を入力します。

dep3

カスタムイメージを選択します。

dep4

インストール先のドライブや容量を設定します。

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インストールが進みます。

dep6

ミニセットアップ(OOBE)が起動します。

dep7

リーガルですね。

dep8

設定を促す画面の対応

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接続方法を選択

dep10

アカウントの作成

dep11

ログオンする

dep13

このような一連の対話型の操作が必要になることが分かります。これらの対話型操作を極力なくして、ログオン状態まで行いたいと思います。

 

 

 

 

Windows Server 2016 を使用した Windows 10 の展開 Part2

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Windows 10 のアップデート

Windows 10 のアップデートの仕組みが今までと変わったのはご存知かもしれません。実は「Windows as a Service」という概念が入ってきました。「Windows as a Service」とは、Windows をサービスとして提供する考え方で、OSリリース時には含まれていなかった機能などが、随時更新されアップデートされていく仕組みになります。これが Windows 10 が最後のバージョンと言われる理由になります。

WAAS

サービシングモデル

Windows 10 の機能更新のタイミングには次の3つがあります。この機能更新(メジャーアップデート)は Windows Update などを通じて配信されるのですが、事実上新しいOSの上書きインストールです。このことから、企業では常に最新の OS を使用する CB もしくは CBB を選択するか、バージョン固定の LTSB のどちらかを選択することになります。ちなみに、 LTSB は専用メディアが用意されています。このことは、OSの展開設計にもかかわることですので書いておきました。なぜなら、CB、CBBを選択した企業では、常に最新の Windows 10 を使用することになります。ということは、メジャーアップデートが行われた場合、前バージョンで作成したカスタムイメージは古いバージョンとなるので、新しくアップデートされた ISO ファイルを入手してカスタムイメージの再作成が必要となることを意味します。

Current Branch(CB)

CB

主にコンシューマー向けで、常に最新の機能が提供されるモデル。
業務アプリケーションの互換性などを確認するための検証用システムなどにもこのモデルが推奨されている。

Current Branch for Business(CBB)

CBB

主にビジネスユーザー向けで、CBの後に新機能が提供されるモデル。
新機能が市場で安定して動作することが確認されてからの提供となる。

Long Term Servicing Branch(LTSB)

LTSB

主にミッションクリティカルシステム向けで、新機能の提供はされず、セキュリティ更新プログラムや修正プログラムのみが提供されるモデル。

Windows 展開に必要なツールをインストール

Windows 10 をカスタマイズするために必要なツールである Windows ADKをインストールします。2016年2月現在の最新版であるバージョン1511をインストールします。

Windows ADK for Windows 10 バージョン 1511

ADK

最低、下記4つはインストールしましょう。

  • Deployment Tools
  • Windows PE
  • Windows ICD
  • USMT

Insider Preview を展開する場合

Insider Preview では 次のCBで展開されるまでの過程で配布されるビルドを使用することができます。 当然ながら人柱用のビルドなのでこれを配布することはないと思いますが奇特な方は次の方法で ISO を作成することができます。

メジャーバージョンをインストール後、最新ビルド(Insider Preview)にアップデートします。「Install.esd」ファイルが作成されるので、そのファイルから必要なファイルを生成して ISO を作成します。

C:\$Windows.~BT\Sources\Install.esd

install.esd から最新の Install.wim と boot.wim を作成する

作業用フォルダーの作成

[C:\Temp\WTP\ESD]   ESD:展開先フォルダー
[C:\Temp\WTP\tmp]   tmp:一時作業用フォルダー
[C:\RecoveryImage]         esdファイル保存先フォルダー

install.esd含まれる内容を確認

[powershell wraplines=”true”]
Dism /Get-WimInfo /WimFile:C:\RecoveryImage\install.esd
[/powershell]

install.esd の展開

[powershell wraplines=”true”]
Dism /Apply-Image /ImageFile:C:\RecoveryImage\install.esd /Index=1 /ApplyDir:C:\Temp\WTP\ESD
[/powershell]

Boot.wim の作成

[powershell wraplines=”true”]
Dism /Capture-Image /ImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\boot.wim /CaptureDir:C:\Temp\WTP\tmp /Name:tmp /Compress:max
Dism /Export-Image /SourceImageFile:C:\RecoveryImage\Install.esd /SourceIndex:2 /DestinationImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\boot.wim /Compress:Recovery /Bootable
Dism /Delete-Image /ImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\boot.wim /Index:1
Dism /Export-Image /SourceImageFile:C:\RecoveryImage\Install.esd /SourceIndex:3 /DestinationImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\boot.wim /Compress:Recovery /Bootable
[/powershell]

Install.wim の作成

[powershell wraplines=”true”]
Dism /Capture-Image /ImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\Install.wim /CaptureDir:C:\Temp\WTP\tmp /Name:tmp /Compress:Maximum
Dism /Export-Image /SourceImageFile:C:\RecoveryImage\Install.esd /SourceIndex:4 /DestinationImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\install.wim /Compress:recovery
Dism /Delete-Image /ImageFile:C:\Temp\WTP\ESD\sources\install.wim /Index:1
[/powershell]

ISOファイルの作成

展開及びイメージング ツール環境(Deployment and Imaging Tools Environment)を起動します。

[powershell wraplines=”true”]
copype amd64 C:\workdir
[/powershell]

Windows10の中身(C:\Temp\WTP\ESD)を C:\workdir\mediaに上書きします。

[powershell wraplines=”true”]
Makewinpemedia /iso \workdir \win10ent_1XXX_amd64.iso
[/powershell]

これで、ISOファイルが作成できました。

Windows Server 2016 を使用した Windows 10 の展開 Part1

OS展開方法のまとめ

2015年に、新しいクライアントOSである Windows 10 がローンチされました。多くの企業では Windows 10 の評価段階がそろそろ終了し、実装を検討しているのではないでしょうか。そこで、Windows 10 の展開を行う方法を理解することで、適切な展開手法を選択することができるでしょう。OS展開手法として次の3つがあります・

ハイ タッチ インストール

ドライバーやアプリケーションのインストールおよびカスタマイズが行われていない状態でのインストール作業のことを表します。ハイタッチインストールの代表的な手法として、メディアから直接インストールする手法を「フルタッチ」といいます。企業に属さない個人ユーザーのほとんどはこの「フルタッチインストール」でOSを展開(インストール)しているでしょう。このインストール形態の難点は、展開中に多くのユーザー操作が必要ということです。

ライト タッチ インストール

極力ユーザー操作を排除した展開手法になります。ユーザーによる展開の管理と監視が必要ですが、繰り返しのステップやプロセスを極力除外し、展開の効率をアップする手法になります。Microsoft では展開に使用するツールとしてWindows 展開サービス (WDS) や Microsoft Deployment Toolkit (MDT) を提供しています。

ゼロ タッチ インストール

ユーザーの介入なしにインストール全自動で行う手法になります。Microsoft では Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM) を提供しており、これを使用することで全自動インストールを実現できます。

Windows Server 2016 を使用した Windows 10 の展開

Windows Server 2016 で提供されている、WDSを使用することで「ライトタッチインストール」を実現することができます。そこで、一般的な展開手順を次に示します。

[table id=12 /]

1.Windows展開サービスのインストールと構成

2.参照コンピューターのインストール

3.参照コンピューターのカスタマイズ(Sysprep)

4.カスタマイズ済み参照コンピューターのキャプチャ(カスタムイメージ)

5.カスタムイメージの展開

WDS

Windows10 の展開時の課題

Windows 7の頃は、マスターとなるイメージを育てるように作成してきました。これは、一旦作成したイメージをベースに新しいイメージを作成していたのです。しかし、Windows8からストアアプリが導入された関係で Sysprep がうまく動作しない現象が起きてきました。その現象は Windows10 でも同様です。様々な検証を行いましたがストアアプリが更新されると Sysprep がうまくいったり、いかなかったりといった現象が起きます。そこで、参照コンピューターを作成する際のポイントとしては、応答ファイルを使用して「administrator」でログインするコンピューターとすることによってストアアプリがインストールされない状態にします。この状態であれば Sysprep は現在のところうまく動作しています。よって、今までのように何度も Sysprep を繰り返してイメージを育てるという方法は難しくなっています。そして、展開時に作成する参照コンピューターのインストールは最初が肝心となります。

*Windows 10をデフォルトでインストールすると「administrator」は無効化された状態となっています。

Sysprepの意味合い

Windowsオペレーティングシステムは、複数のWindowsコンピューターがネットワークに接続した際、重複しない固有のコンピューターとして認識されるための「識別情報」を持っています。この識別情報(SIDなど)が2台のコンピューターで同じものを使用していると、ネットワーク上で競合が発生します。

WDSで使用するキャプチャイメージは、SIDやライセンスデータを含め参照コンピューターと同じなので、展開後に競合が発生しないように、展開前にこれらの情報を消去しておく必要があります。この情報を削除するために利用するのが、「Sysprep(システム準備ツール)」になります。SysprepはWindowsセットアップと連動して実行され、既存のWindows環境をリセットし、新しいコンピューターに環境を展開するたびに情報を再構成できる状態にします。このプロセスを「一般化(Generalize)」と呼び、Sysprepが実行されると不必要な設定や情報がコンピューターから削除され、「OOBE(Out of the Box Experience)」と呼ばれるWindowsセットアップフェーズで再起動されるのです。

Windows展開サービスの構成

Windows展開サービスをインストールし、メニューバーの [操作] より、[サーバーの構成] をクリックして、Windows構成サービスの構成ウィザードを起動します。この際、インストールオプションとして[Active Directoryと統合] もしくは、[スタンドアロンサーバー] を選択します。また、Windows展開サーバーが使用するイメージの保管場所として、システムドライブ以外のNTFSパーティションに、リモートインストールフォルダーのパスを指定します。PXEサーバーの初期設定として、Windows展開サービスのセットアップ中にPXEが反応しないよう、[クライアントコンピューターには反応しない] を選択してウィザードを進めればいいでしょう。

ブートイメージの登録

Windowsの展開に使用するブートイメージを追加する必要があります。今回はオペレーティングシステムとして Windows 10 の 64ビット版をPCにインストールします。そこで、Windows 10のイメージに格納されているブートイメージを使用します。ブートイメージは、展開するオペレーティングシステムの種類に依存しており、64ビット版を展開するにはx64ブートイメージ、32ビット版を展開するにはx32ブートイメージが必要です。ブートイメージはインストールメディアの「\sources\boot.win」です。

キャプチャイメージの作成

参照コンピューターのキャプチャを行うためのブートイメージを作成します。これは、ブートイメージを基に作成します。作成したブートイメージを選択し、右クリック、[キャプチャイメージの作成]より行います。ウィザードの操作が完了したら、[今すぐイメージをWindows展開サーバーに追加する] にチェックをいれて、キャプチャイメージを登録します。

ドライバーの追加

展開コンピューターに必要なドライバーを追加します。ドライバーはすべて「.inf」形式である必要があります。「.exe」形式に格納されたドライバーは使用できないので注意が必要です。ドライバーを追加する際は、Windows展開サービスのドライバーを右クリックし、[ドライバーパッケージの追加]をクリックします。ただし、この段階ですべてのドライバーをインストールする必要ありません。なぜなら、参照コンピューターのカスタマイズ時にインストールすれば、カスタムイメージにはドライバー導入済みとなるからです。

参照コンピューターのインストール

参照コンピューターにオペレーティングシステムをインストールするため、インストールイメージを追加します。インストールイメージは、インストールメディアの「\sources\install.win」です。インストールイメージの登録をするには、メニューバーの操作より、[インストールイメージの追加]をクリックします。イメージの追加ウィザードが起動するので、イメージグループを作成し、イメージファイル(install.wim)を指定します。イメージが登録できたら、展開サーバーを選択し右クリックし、プロパティをクリックし、PXEタブより [PXE応答ポリシー] を [すべて(既知および不明)のクライアントコンピューターに応答する] にチェックして、参照コンピューターのPXEブートに反応するようにします。

そして肝心なのは、応答ファイルを設定することです。WDSのプロパティ画面の「クライアント」タブより、「無人インストールを有効にする」にチェックし、適切なアーキテクチャに応答ファイルを設定します。この応答ファイルでは、「administrator」アカウントを使用してセットアップするよう構成しています。

WDS01

PCを起動し、PXEブートするとイメージの選択画面になるので、ブートイメージを選択すると、Windows展開サービスが起動してWindows 10のインストールが始まります。その際、インストールメディアを使用したインストールと同様に、プロンプト画面よりさまざまな入力(ロケール、キーボードまたは入力方式、キーボードの種類、インストールするパーティションなど)を行う必要があります。

応答ファイル例(install.xml)

[xml wraplines=”true”]

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<unattend xmlns="urn:schemas-microsoft-com:unattend">
<settings pass="oobeSystem">
<component name="Microsoft-Windows-Shell-Setup" processorArchitecture="amd64" publicKeyToken="31bf3856ad364e35" language="neutral" versionScope="nonSxS" xmlns:wcm="http://schemas.microsoft.com/WMIConfig/2002/State" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance">
<OOBE>
<HideEULAPage>true</HideEULAPage>
<HideLocalAccountScreen>true</HideLocalAccountScreen>
<HideOEMRegistrationScreen>true</HideOEMRegistrationScreen>
<HideOnlineAccountScreens>false</HideOnlineAccountScreens>
<HideWirelessSetupInOOBE>true</HideWirelessSetupInOOBE>
<ProtectYourPC>1</ProtectYourPC>
</OOBE>
<TimeZone>Tokyo Standard Time</TimeZone>
<AutoLogon>
<Password>
<Value>Pa$$w0rd</Value>
<PlainText>true</PlainText>
</Password>
<Enabled>true</Enabled>
<LogonCount>1</LogonCount>
<Username>administrator</Username>
</AutoLogon>
<UserAccounts>
<AdministratorPassword>
<Value>Pa$$w0rd</Value>
<PlainText>true</PlainText>
</AdministratorPassword>
</UserAccounts>
</component>
</settings>
<cpi:offlineImage cpi:source="wim:c:/temp/wtp/esd/sources/install.wim#Windows 10 Enterprise Technical Preview" xmlns:cpi="urn:schemas-microsoft-com:cpi" />
</unattend>

[/xml]

これで、参照コンピューターにオペレーティングシステムのインストールができました。そして、重要なことは、administrator アカウントでログオンできるようになっていることです。これから展開を行うためのマスターとなるオペレーティングシステムのカスタマイズを行っていきます。

WDSを使用したWindows8.1のライトタッチインストール

maxresdefault

WDSを使用した展開に関して

@ITに Windows Deployment Service (WDS) を使用した Windows 8.1 の展開について記事を書かせていただきました。一部のかたより要望がありましたのでライトタッチインストールについて詳しく書いていきます。

現在掲載されている記事リスト

Windows展開サービスで大量のクライアントPCを一気に展開する(1)

Windows展開サービスで大量のクライアントPCを一気に展開する(2)

Windows展開サービスで大量のクライアントPCを一気に展開する(3)

展開の種類

展開の種類は大きく分けて次の3つに集約されます。

  • ハイ タッチ インストール
  • ライト タッチ インストール
  • ゼロ タッチ インストール

ハイタッチインストールは展開中に多くのユーザー操作が必要になります。インストールメディアからインストールするのを「フルタッチ」といいます。ハイタッチインストールではドライバーやアプリケーションのインストールおよびカスタマイズが行われていない状態でのインストール作業になります。よって、大量展開では通常使用されません。

ライトタッチインストールとは、ユーザーによる展開の管理と監視が必要ですが、繰り返しのステップやプロセスを除外することで、展開の効率をアップします。要するに、極力ユーザー操作を排除した展開手法ということになります。

ゼロタッチインストールとは、その名の通りユーザーの介入なしにインストールを行うことです。通常、SCCMを使用した展開作業を示します。

何をバイパスさせるか?

そもそも、展開においてどのようなプロンプトを要求されるかを理解しないといけません。よって、今回はWindows8.1の参照コンピューターのイメージ取得はできていると仮定して話を進めます。もし、この段階で話が分からない場合は先に記述した@ITの記事を参照してください。

キャプチャイメージ(展開イメージ)を応答ファイルなしの状態で展開してみます。

1.最初にロケールなどを聞かれます。

1

2.WDSサーバーへ接続するための資格情報の入力を求められます。

2

3.展開するイメージを選択します。

3

4.Windowsをインストールするディスク構成を設定します。

4

5.インストールが開始します。

5

6.インストールが終了し、起動します。地域と言語を入力します。

6

7.ライセンス条項に同意します。

7

8.コンピューター名を入力します。

8

9.設定を選択します。

9

10.アカウントの選択で新しいアカウントを作るを選択します。

10

11.マイクロソフトアカウントは使用しないので、Microsoftアカウント使わずにサインインするを選択します。

11

ログオンするアカウントを選択します。

12

これで、インストール完了です。

応答ファイルの作成

さて、今回目標とするのはPEXブート後に、キャプチャファイルの選択(手順3)のみを行いWindowsまで起動する応答ファイルです。ここで、次の要件を定義します。

  • インストールするディスク構成は、通常インストールと同様にする
  • 初回起動はadministaratorアカウントとする
  • コンピューター名はランダムで作成し、起動後に変更する
  • ドメインには入らない

この要件を満たした 応答ファイル は次のようになります。

さて、ポイントとしては次になります。

今回はディスク構成を自動化する際、BIOS/MBRとしました。

Windows PE セクションで先に紹介した1、2、4の手順のバイパスをしていることです。

1のバイパスの手順は、Windows SIM ではこちらになります。

WS000017

WS000018

ここからはディスク構成の自動化です。

WS000020

先頭のディスク作成

WS000021

残りのディスク作成

WS000022

先頭ディスクの構成

WS000023

OSをインストールするディスクの構成

WS000024

インストールディスクの指定

WS000026

ここはWDSサーバーへログオンするための資格情報になります。

WS000028

(おまけ)デフォルトプロファイルのコピーですね。ここでのポイントはWindows SIMでは、Windows-Shell-Setup配下にコンポーネントができてしまうので手動で削除することです。残したままだと検証エラーが大量に発生しますw

WS000029

ここまでが、WDSによるWindowsインストールの自動化になります。展開後の起動時に行われるプロセスである、残りのoobeSystemセクションの説明は@ITの記事(WDSの3回目)で解説しています。

また、Windows SIMによって作成された応答ファイルですが

<?xml version=”1.0″ encoding=”utf-8″?>

から始まっていると思います。しかし、なぜか encoding=”utf-8″ があると応答ファイルが読み込まない現象が発生しました。よって、この文を削除して対処しました。本来は、これがあっても問題ないはずなのですが・・・

更なるカスタマイズ

コンピューター名の変更や、ドメインへのログオンなどが考えられますね。応答ファイルを使用すればできます。また、初回起動時に実行させるスクリプトを仕込んでおけばかなり柔軟なセットアップが可能になります。SCCMがなくてもゼロタッチに近いライトタッチインストールがWDSで行うことができますね。

WDSのキャプチャイメージ取得時エラーの対処方法

WDSの検証をしていると、なぜか参照コンピューターのキャプチャ時にエラーとなる現象が発生しました。

キャプチャイメージから起動すると以下の画面のようにエラーとなります。

KB2919355

キャプチャイメージはブートイメージから作成するもので、失敗するとは考えづらい・・・

そして調べてみると、USのTechnet Forumにありました。

どうやら、KB2919355が導入されているとこのエラーが出るようです。よって、KB2919355をアンインストールしてWDSを再導入すればいいです。しかし、これは結構ハードルが高いです。この情報を検証しようとしたのですが、アンインストール後に構成が失敗して元に戻ってしまいました。なんと一連の作業をしてもとに戻るまで約1時間かかりました。よって、この方法は却下。

別の方法としては、DISMを使用するものです。

キャプチャイメージを適切な場所にコピーしてから作業を行います。

キャプチャイメージのマウントとアンマウントを行うとエラーが出なくなります。

コマンド例(マウント)

dism /mount-wim /wimfile: /mountdir: /index:1

コマンド例(アンマウント)

dism /unmount-wim /mountdir: /commit

WS000001

このイメージをWDSに追加します(既存のキャプチャイメージを入れ替える方法ではだめでした)。

再度、キャプチャイメージから起動してみてください。キャプチャウイザードが起動するはずです。

WS000002

後はウィザードにしたがってキャプチャを始めれば大丈夫です。しかし、なぜこの方法で成功するのかは謎ですw

ふ~、これでかなり悩んだ・・・