Cluster 検証~その3

クォーラムに関して

クォーラムに関しては以前議論したことがあり、さまざまな意見がありますが、私は次のように理解しています。Windows Server 2003 のころの MSCS と呼ばれていたクラスターでは、クォーラムといえば、クラスター構成データベース(ChkXXX.tmp)が配置された共有ディスクをクォーラムディスクと呼んでいました。そして、そのディスクの中身をクォーラムと呼んでいました。

Windows Server 2008 の MSFC と呼ばれるクラスターからは、クォーラムはクラスター存続の仕組みとして呼ばれるようになりました。

Windows Server 2012 のヘルプには、このように書いてあります。

クォーラムとは、クラスターが動作し続けるために、オンラインである必要のある “投票” できるクラスター要素の数です。クォーラム要素には、クラスター ノードと、オプションでクォーラム監視があります。クォーラム監視では、複数のクラスター ノード間のすべてのネットワーク通信リンクが失敗した場合の判別がサポートされます (“スプリット ブレイン” シナリオと呼ばれる場合もあります)。クォーラム監視では、専用のディスク監視、またはファイル共有監視を行うことができます。ディスク監視ではクラスター データベースのコピーを保存しますが、ファイル共有監視では保存しません。

Windows Server 2008 では 4 つのクォーラムモードがありました。

  • ノードマジョリティ
  • ノードおよびディスクマジョリティ
  • ノートおよびファイル共有マジョリティ
  • マジョリティなし:ディスクのみ

これらのモードを選択することによって、投票権をどのように持たせるかを決めていました。Windows Server 2012 でもこの考え方は変わっていないようです。

しかし、さらに進化して投票権の持ち方をカスタマイズできるようになりました。

クラスタークォーラム設定の構成をクリックするとウィザードが流れます。

WS000000

ここで、次のような画面になります。

WS000001

オプション 説明
標準設定を使用する クラスターは自動的にクォーラムを管理し、必要に応じてクォーラム監視を選択します。ほとんどの場合はこれをお勧めします。クラスターの可用性を最大限に引き出すクォーラムと監視の構成がクラスター ソフトウェアによって自動的に選択されるためです。
クォーラム監視を追加または変更する 監視リソースを追加、変更、または削除できます。ファイル共有またはディスク監視を構成できます。ただし、クラスターは自動的に各ノードに投票を割り当て、クラスターがノードの投票を動的に管理できるようにします。
高度なクォーラム構成および監視の選択 このオプションを選択するのは、クォーラムの構成にアプリケーション固有の要件がある場合だけです。このオプションを使用すると、クラスターのすべてのクォーラム設定を構成できます。クォーラム監視の変更、ノードの投票の追加または削除、クラスターによるノードの投票の動的な管理を有効にするかどうかの選択が可能です。

通常は標準設定を使用するにチェックをいれてウィザードを進めていくことにより、現在のノード構成に合わせて適切なモードを選んでくれます。

クォーラム監視を追加または変更するを選択すると、次に画面でクォーラム監視を選択できます。

WS000002

この画面が今までのモード選択と同様の設定ということになりますね。

  • ディスク監視:ノードおよびディスクマジョリティ
  • ファイル共有監視:ノードおよびファイル共有マジョリティ
  • クォーラム監視:ノードマジョリティ

ということです。

高度なクォーラム構成および監視の選択すると次の画面で投票権のカスタマイズができます。

WS000003

さらに次の画面でダイナミッククォーラムの設定ができます。これが Windows Server 2012 の MSFC の新機能になります。

WS000004

ダイナミッククォーラムとは、ノード障害が発生した際今までは投票権が過半数以上ないとクラスターの存続ができませんでしたが、動的に投票権の持ち方を変更して存続できる仕組みになります。たとえば 5 ノードのクラスターを構築した場合 3 つ以上の投票権(ノードマジョリティが前提なので全部で 5 票ある)がないとクラスターの存続ができません。しかし、このダイナミッククォーラムにより 2 ノードでもクラスターが存続できることになります。

この設定は PowerShell でも変更できます。

WS000006

デフォルトは 1 です。

WS000007

これをゼロにすると、ダイナミッククォーラムは使用されません。要するに、GUI での「クラスターがノードの投票の割り当てを動的に管理できるようにする」のチェックを外した状態と同じです。

このように、クォーラムの設定がかなり細かく設定できるようになりました。

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コメント

  1. .NET Clips より:

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    素敵なエントリーの登録ありがとうございます – .NET Clipsからのトラックバック…

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